私の住む相模原市では、幸い、地震そのものでは大きな被害はありませんでした。
私自身は地震発生時には東京の勤務先オフィスにいました。地震の揺れは今まで経験した地震とはまったくレベルの違うもので、「これは死ぬかもしれない」と地震で初めて感じるほどでした。
今回の地震の特徴は揺れが非常に長く続いたことだったと思います。しかし振り返ってみると東京では時間が長く揺れていただけで地震の揺れそのものはあまり激しくなかったような気がします。例えば、オフィス内ではパソコンのディスプレイが倒れてもいませんし、特別に固定もされていない棚の上の荷物が落ちたりもしませんでした。
都内での揺れは速報では震度 4 でしたが、後に訂正されて震度 5 となったようです。震度 5 であの恐怖感ということは、震源地に近い場所の方々の恐怖はいかばかりのものだったのかと思います。
週が明けて列車の運行状況、オフィス近辺の食料入手事情などが不透明であるため、自宅勤務をしてよいという指示の電話が上司からあり、2011/03/14(月)、03/15(火) と自宅勤務をしています。報道されている鉄道の運行状況や、各駅での長い行列を見ていると、いろいろなことが落ち着くまでは通勤は避けた方がよいように思え、自宅勤務は正解でした。
そして計画停電です。
日本のような電気のインフラの整った国に住んでいて、よもや計画停電を経験することになるとは思ってもいませんでした。
まず東京電力から 2011/03/14(月) からは計画停電を行うという発表がありました。グループわけや時間帯なども発表されました。私の住所地はグループ 1 です。2011/03/14(月) のグループ 1 の停電予定時間には、需要が供給を下回ったため、結局計画停電は行われず、自宅勤務したことを除けばごく普通の 1 日でした。
そして 2 日目の今日 2011/03/15(火) です。停電予定時間を過ぎても電気が切れることはありませんでした。自宅でそのまま仕事をしていると、予定開始時間を 1 時間ほど過ぎた 16:10 頃、ブチっという音がして、蛍光灯やテレビなどが消えてしまいました。ついに計画停電が実行されたのです。
仕事で使っているパソコンはノート PC だったので問題なく使えます。自宅のネットワークは使えなくなってしまいましたが、au のデータカードを使うと接続可能でした。しかしサーバーにリモートデスクトップ接続すると、カーソル操作についてこれないようなレスポンスしかありません。メールの読み書き程度は問題ありませんが、サーバーが使えないと技術的な内容については仕事になりません。上司に報告して停電時間中は仕事をあきらめることにしました。
我が家の暖房は電気で動くものばかりなので、暖房もなくなり、電灯もつかないので本当にやることというか、できることがありません。
ということで街の様子を見に行ってみました。
家を出て小田急相模原駅まで歩きました。線路をはさんだ反対側は停電グループが違うため停電していません。下の写真は線路をはさんで停電していない側から駅の横の踏み切りを撮ったものです。線路の手前は煌々とあかりがついているのに、向こう側は真っ暗です。
線路をはさんで向かい合う明るい世界と暗い世界
駅の南口です。普段は各部屋にまばらに電気がついていたり、階段、バルコニーなどの常夜灯が見えるマンションも、暗闇に沈んでいます。
明かりのまったく見えないマンション
南口の商店街です。イトーヨーカドーは停電時間帯は閉店していました。もちろん看板などの電気もなく、真っ暗です。通り過ぎる自転車のヘッドライトが普段より何倍も明るいように感じます。
南口商店街
こちらはコンビニエンスストアのローソンです。通常は非常に明るい店だけに暗さがひときわ印象深く感じます。
真っ暗なローソン
ローソン前の信号も消えています。車のヘッドライトが非常にまぶしく感じます。ドライバーの方は非常に注意深く走っているようで、信号は点いていませんでしたが、私が横断歩道で待っていると、ちゃんと停まって渡らせてくれました。
灯りの消えた信号
自宅で電気が消えてしまった時に、不安というか、喪失感のようなものを感じ、その大きさに驚きました。電気はいくつかあるインフラの 1 つに過ぎませんが、いかに私が電気に頼って生活しているかということが身に染みました。また、漠然と強固なものと思っていたインフラが思っていたより脆弱であったという事を思い知らされました。停電の時間帯、自宅でインターネットは見れませんでしたし、本を読むこともできませんでした。瞬間湯沸かし器は電子制御なので蛇口からはお湯が出なくなります。
幸い我が家はオール電化ではないので、ガスコンロがあり、水道も停電していても使えるので、今回はしませんでしたが、例えばカップラーメンを食べたりすることは可能です。また、この停電は計画されたもので、2 時間ほどすれば復旧することを事前に知っています。それでいてこの不安感、喪失感なのです。
計画停電など先進国では本来はあってはならないことだとは思うのですが、その一方で、こういう経験をすることも、被災された方々の苦労を思うためには、実は必要なことなのかも知れないと思いました。
ところで、急に話がかわりますが、4 WAY STOP という交通ルールを知っていますか? これは日本にはないルールですが、アメリカでは一般的です。詳細なルールは以下のページなどで紹介されています。
How to Handle a 4-Way Stop | eHow.com
日本と違ってアメリカでは頻繁に停電が発生します。その際信号機も消えてしまう事が多いのですが、アメリカでは停電などにより信号機が消えてしまった交差点では、通常この 4 WAY STOP ルールが適用されます。
ルールを簡単に説明します。
1. 交差点にさしかかったら、完全に停止します。
2. その時点で、交差点に入るほかの車線をみます。自分より先に停止している車がいれば、それらの車に優先権があります。他の車が動くのを待ってください。
3. 自分が停止した時点ですでに停まっていた車がすべて交差点を通過したら、自分に優先権が発生します。交差点に進入してください。
本当に完全に同時ぐらいに 2 台以上の車が来たらどうするんだ、というようなもう少し厳格なルールがあるのですが、基本は上記です。
片側 2 車線の道でも同じことです。例えば片側 2 車線の道同士の交差点であれば、交差点への進入車線は 8 車線あることになります。通常の片側 1 車線同士の交差点では自分が交差点の停止線に停まった時、すでに停止していて自分より優先権のある車は、最大で 3 台です。これが片側 2 車線の道同士の交差点であれば、自分が交差点の停止線に停まった時、すでに停止していて自分より優先権のある車は、最大で 7 台になるという違いだけです。
幹線道路側を走っている人は若干フラストレーションを感じるかも知れませんが、これは信号がなくなった場合で、警察官などの交通整理もない場合の、唯一の安全な交通処理方法だと思います。
日本でもこの先 1 ヶ月ほどは計画停電が続き、各所で信号が消えた交差点が出現することになります。日本でもこのルールを使うことにしませんか?
行政機関か、大手のメディアなどがこの方法を使おうというキャンペーンを行わないと、この先 1 ヶ月の計画停電期間中に、重大な事故が発生してしまう可能性が高いように思います。
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